"夏侯淵と郭淮、夏侯覇の記憶：
人気のない裏門から、
鎧武者が一人、馬を引いて出てくる。
兜に隠された顔には、いつもの陽気な表情は
なく、苦悩が張り付いている。
馬にまたがり、名残に城を振り仰いだ時、
不意に、彼の脳裏に懐かしい思い出が蘇る
「いいか、息子。
これが最後って思うから肩に力が入るんだ」
「まだ次がある…
これが駄目でも次でなんとかする、
そんくらいでいってみろ」
「おお、さすがは夏侯淵将軍!
けだし金言でございますな」
「いやいやいや、お前が言うか、郭准。
いつも命懸けのくせに っと」
「おっ! やったな、息子!」
「お見事です、夏候覇殿!」
「ははは……なんだかいい感じに
力が抜けたんで」
そして彼は馬を進める。
まだ次がある。
その教えを胸に、新天地を目指す。

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