Goetia
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Goetia 日本語でガイド (Guide for Japanese player)
By rlyeh and 1 collaborators
Goetiaのゲーム内ヒントのみをざっくり訳して置いておくコーナー。
ゲームの攻略そのものはここには書かない鉄の掟で、どこで手に入れられるか等の質問にも答えられません。
(ネタバレがプレイを台無しにしてしまう恐れがあるため)
   
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Blackwood Manor関連資料和訳 #1
Edward, Alexander and I sneaked...

エドワードへ

アレクサンダーと一緒に父さまの研究室に忍び込んだら、面白そうなものを見つけたよ!
あそこにあった変な粉を使うと隠された文字が現れるんだ。
紙にふりかけるだけでインクが浮き出てくるんだよ!
アレクサンダーが少しちょろまかして来たみたいだから、いっしょに暗号ごっこができるぜ。

R.



Have you ever heard the story of Icarus?

空高く飛び、太陽に近付き過ぎたイカロスをご存じですか?
あの昔話を踏まえて、私からひとつお話をさせてください。


みずからを自然界の元素を意のままに操る偉大な錬金術士だと思い込んでいる男が、失われた古のグリモア(魔導書)を見つけました。それで彼は悪魔を召喚するわざを学んで、悪魔に命じて望むことを何でも叶えられるようになってやろうと考えました。
この男にはじぶんの頭で考える能力が欠けていたのですが、いっぽう、他人から得たものごとを利用することに長けていて、錬金術の先達の試行錯誤の成果をまねたおかげで力を得ており、周りの人びとに先達の受け売りをひけらかしては偉そうにふるまっていました。


この男はとある女性に恋をしていましたが、ちっとも打ち明けられず、遠くから眺めては美しさに見とれたり、彼女が奥さんだったらどうなるかを夢みるばかりでした。彼はそのような空想にひたることにかなりの時間を費やしたので、ついには執着が彼を蝕みはじめ、眠ることができず、食事は喉を通らなくなり、仲間からも孤立していきました。


さて、その魔導書の手ほどきはとても解りやすかったので、彼は錬金術のタネ本の教えを巧みに模倣できたことから鑑みて、これなら錬金術を会得したよりも短期間で悪魔どもを従えられるだろうと考えました。
そして、おのれの恋路に絶望したすえに、男女の間に愛情を芽生えさせる権能を持つとされる「ベレト(Beleth)」という名の悪魔を喚び出したのです。


彼の絶望を嗅ぎつけ、ベレトが召喚に応じて顕現しましたが、男はこの悪魔がこんなにも早くやって来たのは自分の腕前のおかげだと確信し、悪魔にむかって、災いが想い人に振りかかることなしに、ただちに彼女を我がものにするよう命じました。
すると悪魔は笑い声を上げて「たやすいことだ」と答え、その女もまたお前を想っているが、確実にうまくやるために行動は一度きりに絞った方がいいだろうと言いました。


男は有頂天になって、目的を達成するためなら何でもするとベレトに約束すると、悪魔は正確に書き写して決められた日に届けるよう言い含め、彼女に送る愛の手紙を口述しました。男は悪魔を退去させたあとすぐに一字一句たがわず手紙を書いて保管し、約束の日を待ちました。


ついにその日がやって来ましたが、彼の想い人は幼いころに他界した最愛の母親と交信しようと、ある心霊家のもとを訪れていました。霊媒師が魂を呼ぶと、母親に化けたベレトがやって来て、彼女が受け取ることになる手紙について語りはじめました。
その手紙をよこす男は邪悪な死霊術師で、家族に害をなそうと企んでいると。
男の手紙の内容を正確に知っていたので、ベレトはたやすく彼女をおびえさせ、彼の評判までも台無しにすることに成功しました。
ちょうどイカロスのように、彼の慢心が彼を破滅させたのです。しかしながら、このことから私たちはもう一つ学ぶことができます。


論理的思考、あるいは理性や、創造し革新する能力なしに、達人は達人たりえないのです。私が書いたことのすべてを含め、決して額面どおりに受け取らないようにしましょう。



CIRTIFIED COPY OF AN ENTRY OF DEATH

死亡証明謄本 ロンドン総合登記局発行
アブラハム・エドワード・クリストファー・ブラックウッド
(訳註:詳細省略)



Mother, Since you will not listen to reason...

母さまへ

理性の声に耳を傾けてくださらないので、僕は身をもってあなたを止めねばならなくなりました。
手帳を盗んだことは謝りますが、それ以外に方法がなかったのです。
長男はガブリエルかもしれませんが、あなたの企みを解っていない。
僕は幼いエドワードとロバートのためにきっと戻ってきますから、あの子たちに何かしたら許しません。
さもなければあなたは心の底から後悔することになるでしょう。
こんなことは、もうたくさんです。

さようなら

A.



My dear Alexander, I know you disaprove of all this...

私のかわいいアレクサンダーへ

あのことをあなたが全く納得していないことも、それでこの数日間、行方をくらましているのもわかっています。
かわいい息子よ、どうか許して。私は最後まで見届けなければならないの。
私たち家族が背負うものはあまりに重すぎる。
願わくば、あなたがこの手紙を見つけて、私の行いを許してくれますよう。
あなたがどこにいようと、幸せでいると信じています。

あなたを愛する母より

アニー
Blackwood Manor関連資料和訳 #2
1203 Writing a journal had never interested me...

3月12日

今まで日記を書くことに何の興味も持てなかったが、この数日で必要性を感じている。沢山のことが一度に押し寄せて、私の心はもうくたくただ。今日は父が大切にしていた資料を発見した。

それは父が生涯を捧げて蒐集した驚くべき資料の束で、悪魔やシンボルに関する常軌を逸した文書だった。よくわからない名前や得体の知れない紋章と図像、膨大な文……。ずっと昔、私の大切なアビゲイルに知識を継がせるのに使われたものだ。
私の直感はこの箱を元の場所に戻すよう警鐘を鳴らしているが、好奇心が疼いてしまう。


3月24日

父の遺した資料を読み漁るうちに意味が解ってきた。父は孤独に苛まれ狂気に陥っていたわけではなかったらしい。この道楽にしばらくの時間熱中したことは、ゴエティア(Goetia)という古代の儀式に関する徹底的な学習になった。
ゴエティアは悪魔を喚起して頼みごとや質問を行うために用いられていた。相変わらず正気の沙汰とは思えないが、そういうことのようだ。

旧時代の迷信そのものなのに、この召喚術は実際に機能するように思える。
父は以下の5柱の悪魔に特に興味を持っていた様子だ:マルファス(Malphas)、ブネ(Bune)、パイモン(Paimon)、フォラス(Foras)、ナベリウス(Naberius)。

資料において、儀式とその呪文、それぞれの存在の特徴、得意分野や弱点が非常に詳しく記述されているが、それで悪魔の実在を認めるのはさすがに難しい。しかし、父の研究は疑いを向けるにはあまりにも詳細に過ぎる。


5月12日 (訳註:ページをまたぐ日記は繰り上げてまとめています。以下同様)

好奇心は智慧の入口である。先週、私はかの儀式をいくつか執り行った。いささか馬鹿馬鹿しく感じているのを何とか脇にどかして、奇妙な言語からなる召喚の呪文を声も高らかに唱えてみたのだ。
成功するにはまだ時間がかかりそうだ。

探求にのめり込んでしまっている。悪魔と相対する時に避けるべき言葉や振る舞いはもちろんのこと、申し出る質問までもを書き留めるために、まるまる数日を費やした。
私はマルファスを選んだ。資料を読む限りでは、悪魔の中ではいくらか……まともに思えたからだ。それほど危険な存在でないことを願うばかりだが、取りあって貰える気がしない。
絶望感が高まっていく。

戦争が始まったのを感じる。オークマーシュの人々の考えはそれぞれだが、みなピリピリしている。敵は遠く離れた場所にいるとは言え、私という存在に対するよそよそしさを感じずにはいられない。
この気持ちをうまく説明できない。



7月15日

興奮で頭が回らず寝付けない。信じられない、マルファスが応えた!
最初に気付いたのは巨大なハンマーで周囲の壁という壁を殴りつけるような名状しがたい音で、次に扉の下から吹き込んだ風が部屋を満たした。
マルファスが私に話しかけてきた時に、私は確かに幾千羽の鳥が部屋中を飛び回っているかのような羽ばたきの音を聞いた。驚きで私の体は凍り付き、すぐには一言も発することができない。

こいつは……この悪魔は、カリスマにあふれている。

最初に考えたのは、会いに行けばかわいい妹アビゲイルはきっと感激するだろうということだった。
私は答えを欲してやまない質問を投げかけた。アビゲイルは一緒なのか?見つけることは可能か?
悪魔は笑った。マルファスは、うっとりするような魅力的な笑い声を上げた。とても柔和に。
そして、彼女を呼び戻すことは出来ないが、それを除けば彼女は元気にやっている、と言った。

私は落ち着くべきだ。だが、答えへの渇望は落ち着くところを知らない。


7月22日

マルファスと私はお互いを知って成長している。
こんな風に書くのは変な感じだが、もっと奇妙なのがそれを体験しているということだ。
この悪魔はとても思いやり深いので、私たち哀れな人類よりもはるかに高位の存在だということを時々忘れそうになる。
彼は五千年も生きているという話を少しだけする機会があったので、彼にとっての私とは、ありがたい気晴らしなのだろう。

ときおり愛するジョセフのことが頭をよぎって、彼がもはやこの世の住人ではないことに罪を免れた気分になる。
父がまだ生きていたなら、私の研究と成功を誇らしく思ってくれたはずだ。

そして父の実験を目の前にしておびえる私を笑っていたアビゲイルは……。
今だけでも会えないだろうか?
私を誇らしい姉だと思ってくれますか?

私は子供たちに気づかれないように研究を続けている。まだ若すぎて何が危険かを理解できないからだが、ガブリエルになら話し始めてもいいかも知れない。
ゴエティアに関する私の儀式の知識を受けついでくれることが楽しみだ。

しかし子供たちは薄々感づいているのかも知れない。アレクサンダーが最近疲れた様子だ。



10月8日

ついに奴らが来た。奴らは昨日ロンドンに爆撃を開始した。
ミセス・マシューと彼女の夫は何日か前に、すべてを置いたままオークマーシュから去っていった。

私は胸を痛めている。こんな世界で我が子らは生きていけるのだろうか。明日がどうなっているか想像すらできない。マルファスに尋ねてみたが、彼はこの事態をいつものように面白がっているようで、私をたいそう苛つかせた。
傲慢な羽の塊め。
もちろん彼はおかまいなしに、「地獄はこの世よりずっと平和だよ」と言っていた。


10月12日

今日は牧師のエルリアスと少々言葉を交わした。例の研究を他人に話すのを我慢できなかったからだが、意外にも彼はこの日を待ちわびていたと言ってきたのでとても驚かされた。
そして牧師は私に助力を申し出た。
この件について私より詳しく知っている人物が他にもいるのだろうか。
何をどうしたら聖職者が悪魔の召喚を試みるような研究を行うことになるのだろう?

彼の申し出を受けようと思う。私は父の研究成果をいくつか拾い読みする程度しかしたことがなかったし、悪魔の喚び出しはゴエティアのほんの一側面でしかないからだ。
それに、この件に関する私の疑問に答えないマルファスをあてにすることは出来ない。
私は答えを手に入れる。あの意地悪な鳥は好きなだけ笑っていればいい。


11月2日

オークマーシュから誰もいなくなり、館の近くにはゴーストタウンしかないことになった。
ゴエティアは……無害な技術の類ではない。それで、最も肝が据わった人たちもこの間の儀式でその確信を得て、ついに出て行ったのだろう。
あの人達の愚かな偏見はいらないから、行かせてあげた。

我々の敵がすぐ近くまで来た時には、せめて歓迎するための何かを用意しておくつもりだ。



11月5日

ガブリエル。私の可愛いガブリエル。
あなたなら理解してくれると確信していました。
本当に愛しています。

ロバート、エドワード、あなた達も早くこの探究の重要性が解りますように。


12月12日

もはや希望は残されていない。
汚らわしい侵略者が着く頃には私はここにいないだろうが、子供たちに指一本でも触れようとすれば、必ず後悔することになるだろう。
オークマーシュを植民地にするなら勝手にすればいい。私が気にするものか!
私に手を貸してくれなかった視野の狭い田舎者どもの事などどうでもいい。覚えておくような価値もない。
だがブラックウッドの屋敷に入ってみろ、一人残らず地獄に叩き込んでやる。


1月5日

ありがとう牧師、アントン・エルリアス。心の底からお礼を申し上げます。

もうすぐ全ての準備が整う。

世界の崩壊を見るために、私はここからいなくなる。

前みたいに傲慢に嘲らないのね、マルファス……。

心配しないで、私にも心がないわけじゃない。
あなたが寂しくないようにお友達を連れて来て、呪文で縛っておいたから。

アビゲイル、どうか待っていて。私の声を聞いて。私が呼ぶ方へ来て
Blackwood Manor関連資料和訳 #3
Malphas is a... (5柱の悪魔についてのメモ)
マルファス

退去のシジル
(追儺)

(ノート本文、左ページ省略。Wikipedia等で読めるマルファスの特徴とほぼ同様です)

(右ページ)
……はアルス・ゴエティアに嗄れ声と記述されているが、
……まったく反対で甘く魅力的だ。喚起した者を
……するのだろうか?

……の羽が、顕現時に視界に
……触知不可能のように思われる。我々の作業後に
……何ひとつ見当たらなかった。



ファナス

ファナスについて私は詳しく知らない。

文献によれば、彼は薬草や薬石に詳しく、理論とその道(「道」とは何を指すのか。規範か?哲学か?)を指南するのだという。また、人を不可視にしたり雄弁を与える能力を持つ。

召喚を試みた後、夜間に上記のような緑の苔が出現したが、シジルに傷がつくのを恐れてあえて除去しなかった。
適切な手順を踏まずに突然繋がりが切れた場合、何が起こるのだろうか?



ブネ

父の研究において、いくつかの場面で畏怖と敬意が入り交じる表現でブネのことが言及されているが、私の理解ではこの悪魔は何度か我々の世界に侵入を試みるも、それは善良な意図によるものではない。彼のことがよくわからない。

11月25日 火曜日
マルファスはこの悪魔を良く思っていないが、私はまだマルファスが信用に値するか判断つきかねている。この二者は彼らの世界で何百年も争っていたのだという。
彼は敵対者を失墜させるチャンスを窺っているようにも思える。
マルファスがブネを遮るためにあらゆる手を尽くすのであれば、彼を信頼していいだろうか。

(右ページ、走り書き)
彼を召喚するのは最後にしようと思う。
退去のシジルがない。時間がない。必要もない。
もし彼が逃げ出せば、私はあわれなこの世界に味方してしまうかも知れないし。



パイモン

これがパイモンである。ジャック・コラン・ド・プランシーの弁を信じるならば、地獄の王で芸術と科学、神秘についての知識を与える。主天使の位階に属し、200の軍団を擁するのだという。

これなら、家族の資質と完璧に一致する。
(手書き:第22位)

シジルの上に4つの点が出現し、何かが燃えたような臭気で部屋が満たされた。
正しい手順を踏んだはずだが、上部のこの直線は何を意味するのだろう?



ナベリウス

『ナベリウスは勇猛な地獄の公爵であり、ワタリガラスの姿で現れて掠れ声で話す。雄弁と愛想の良さを与えることができ、芸術を指南する。19の軍団を擁する』

ワタリガラスはもう間に合ってる。

またしても情報不足。この悪魔はガブリエルに興味を示しているようだ。
彼を召喚作業の参列者として誘ってみるべきだろうか?
Blackwood Manor関連資料和訳 #4
My dearest son, I am saddened...

私の大切な息子へ

あなたにはがっかりさせられたので、悲しみに暮れています。
あなたのささやかな警告は、少しも役に立たなかったわ……。

盗まれた資料は重要でした。本当に――でも、もう要りません。
あなたは村のフラット(訳註:貸部屋)にあれを隠したんでしょう。
それか、スタンフォードの娘に預けたのね。きっとあの人たちに何か吹き込まれて……。

誤解を解くために私とお話しましょう、いいですね。



In remembrance our discoveries...
私たちの発見と手作業、眠らぬ夜の思い出として。
あなたに会えなくなるせいで、この森が寂しがっている。

アントン


(訳註:「手作業」は hand-working で、
(以下、hand-workingという単語にピンと来られた方とクリアされた方だけお読みいただければ幸いです)
隠語として性的な意味もある。つまり……


Eureka!

わかったぞ!

試すこと:
  • 写真家こそは魔法を使っているのでは?これは魂の固定ではないのか?
  • 写真の風景の中に投射できないか。自身の存在や記憶のコピーなど。
さらなる疑問:
  • 「ヒト」の分岐とゴエティアの繋がりは?
  • 写真の中に出入りできるようになるとして、中にあるものは本物と呼べるのか?魂の投射はどうか。肉体に戻るのか?(赤字:母に教えてもらう必要がある)
  • 写真は実在の場所への扉なのか、魔法で新しい場所を作るだけなのか。合成写真で試す必要あり。
自律する不変の世界を新たに創造できるとしたら……その意義は計り知れないぞ!



My young brother...

弟よ、しばらくお前のおつむをテストしてなかったな。ここはひとつ、宝探しごっこなんてどう?
最初のヒント:『戦車(chariot)』
じゃ、がんばれよ!

R.



I caught her going through your room...
あなたの部屋を通り抜ける時に彼女を見ました。
僕は話しましたよね、彼女の目論みとその理由を。そして、何があっても彼女に従ってはいけないと。
お願いです、僕を信じて下さい。

このメモを読んだらすぐ可能な限り見つからない場所に隠すか抹消して、森のはずれまで僕に会いに来て下さい。サリーとロバートと一緒に待っています。
全てうまくいくことを約束します。

アレクサンダー
Oakmarsh関連資料和訳 #1
Dunchurch Dance

あの夜の君の瞳を僕はきっと忘れない。

あなたのアレクサンダーより



Dear sister,

親愛なる妹へ

爆撃のあと、美しかったコヴェントリーの街は破壊しつくされて酷いありさまだ。戦争が歴史的建造物のほとんどを遺跡に変えてしまった。
何もかもが荒れ果てて、聖ミカエル大聖堂の尖塔が一つ残っているだけだ。かつてゴダイヴァ夫人が通った道には燃えたバスの残骸がいくつも立ち往生している。

何千人もが犠牲になって、生き残った人たちも家に引きこもってしまっている。
ジョージ王がいらっしゃって、ロンドンのように敵に屈しなかったコヴェントリーの勇敢な市民たちに深い哀悼の意を表してくださった。

お前のくれた手紙を読んだが、もうずっと長い間オークマーシュはあの屋敷が振りまく恐怖に悩まされていて、勇気を出さねばならないのだね。
村の人たちはその頭のおかしいエルリアスが、アニーの狂気じみた研究を後押しすることを恐れているとか。

だが逆に、彼は信仰心ゆえに、彼女がまさに解き放とうとしている何か邪悪な力から、彼女を守ろうとしているとは考えられないだろうか?

ところで、姪のサリーはアレクサンダーと一緒に村の中に隠れているとのことで、とてつもない危険に晒されているようだが、二人の目的は知っているのか?
お前の娘は頑固だから、きっと言っても聞かないんだろう。

私はアレクサンダーが家族を捨てたとは俄かに信じがたい。あいつは我々が知らぬうちに、秘密の目的を達しようと目論んでいるんだと考えている。

もしかしたらあいつは、あの呪われた一族の血に根ざした呪詛の方法を見つけたのかも知れないぞ。村人たちが怒りに任せておかしなことをしでかさないよう願うばかりだ。

勇気が沢山必要になるだろう、いつでも頼ってほしい。

愛を込めて
お前の兄より



George Stanford...
(左ページ)
メモ:ウィジャ盤(訳註:西洋版コックリさん)を隠すこと(屋根裏?)

この手帳を拾った場合、お手数ですがこちらまでご返却下さい:
ジョージ・スタンフォード オークマーシュ ウィローバーク・ロード

(右ページ)
今朝、アブラハム・ブラックウッド教授との面会に際して俺は、はやる気持ちと不安の両方を感じていた。教授のの陰気な感じは改善される様子がなかったが、少なくとも話は分かりやすいと思う。

彼は妙な機械類と計測機器、それに古ぼけて黄ばんだ、目印をつけすぎてボロボロの本を両腕いっぱいに抱えてやって来て……その中にウィジャ盤という、文字と数字を刻んだ板切れもあった。色んな存在とやりとり――教授様のくそったれがおっしゃるには、『交信』するための道具なんだそうだ。
それで俺は退散を決めこんで、サリーをサムソンの店へ連れて行く間、彼にはうちの一階でぼそぼそと独り言を呟いてもらっておいた。

家に戻ると、ブラックウッド教授は俺が疑っているかどうか確かめた。
そして、ここには確かに何かがいて一種の『活動』を行っているが、何の危険性もない、と言った。
何の危険性もないだと?
こいつを、あの空飛ぶ物体のど真ん中に立たせてやりたい。



ゆうべ家の出入り口あたりで変な音がしたので下に降りたが、誰もいないし何か動いた様子もない。俺自身、頭がおかしくなりかけているのか、何かがその存在に気付いてもらおうとしているのかわからなかった。

ブラックウッド教授は明日出直して詳しく調査したいとのこと。
彼の孫のひとり、記憶が間違ってなければガブリエルと言ったはずだが、その子も連れて来るそうだ。あそこの子らがおもてに出ているのをあまり見たことはないが、ガブリエルは感じが良くていい子だと思う。あの子の親父とは正反対だ。



I left the key...
合鍵を作るため、鍵をサムソンの店に預けてます。
元の鍵は灰色で、同じ色のラベルが貼られた小さいやつです。
当分、出入口の鍵は閉めないでおいて!

L.



My beloved children...

愛しい子供達へ

私に何が起きてもお前たちは気にしないと思うが、父を恋しく思った時のため、いくつか言葉を残しておこうと思う。
昨日近くで最初の空襲があってから、刻一刻と近づいて来ている。コヴェントリーが焼かれて以来ヘンリーとフィリップから何の報せもないので、最悪の事態を恐れている。
私は恐怖と苦痛から逃れるため、あえてここに残ろうと思う。

我が子らよ、どうか元気で。この距離が互いを隔てて何もわからなくしてしまうことをどうか許して欲しい。お前たちが選んだ人生が、安全と幸福をもたらすことを願っている。そして、ここにある狂気がお前たちを追っていかないことをも。

愛する父より



My dear Sally, you were not at home...

いとしいサリー、君が家にいなかったので、君のお母さまに頼んでこの箱を残していくことにした。できるだけ早くこれを手にしてくれることを祈る。

この磁気テープは鍵でもあるので、取り扱いに注意して欲しい。
僕が時間通りに戻らなければ、君の誠実な隣人が持っているプレーヤーでテープを再生してくれ。

ありったけの愛を込めて
アレキサンダー


14 November: A strange silence...


11月14日:屋敷の周りが奇妙な静寂に包まれた。森へ薪を採りに行っていた時、動物たちが突然静かになった。夕暮れ時のこと―なんとも不思議だが事実だ。

11月16日:コヴェントリーの空襲の噂が耳に届く。畜生め!奴らがオークマーシュのような辺鄙な場所に目をつけないことを願うばかり。

11月21日:スタンフォードのとこの婆さんがふらりと立ち寄って、せわしない様子ですぐ帰っていった。あそこの婆さんは海千山千だから、何を考えているかわかったもんじゃない。触らぬ神にたたりなしだ。

12月2日:今日はブラックウッド家の坊っちゃん――たぶんアレクサンダーだ――が来て、店の裏にあるフラット(訳註:貸部屋)を借りたいと言ってきた。古い物置も馬屋も狭いから育ちのいい坊っちゃんには向きませんよと渋ったら、金を多めに握らせてきたので、はいと答えた。見た限りまともそうな坊っちゃんだったが、目を光らせておくに越したことはない。





12月15日:ブラックウッドの館が光に覆われた。クリスマスの飾りや空襲ではなく。

12月16日:誓って言うが、館の方から叫び声が聞こえてきて谷じゅうに響き渡った。まだ耳がわんわん言っている。

12月25日:メリークリスマス。

1月25日:あの館に近づくといつも不安になったが、もうそんな話で済む程度じゃない。壁という壁から囁き声が聞こえてくる。化物か何かが、単語のようなものを何度も何度も繰り返していて、今も続いている。

それは「エム・フィ・ゴー」とか何とか、そんなふうに聞き取れた。エムフィゴー。エムフィゴー、エムフィゴー……止まる気配がない。空気が凍りつき、館の屋根が動いたような気がしたので、俺は耐え切れずついに村まで逃げ帰って、声の限りに絶叫した。

もう決まりだ。店を閉めて、二度とここから動くもんか。




1月28日:エマとジョージが出て行くそうだ。
娘さんを置き去りにするらしいが、何故そんなことをするのか理解できない。
娘さんがアレクサンダー坊っちゃんと一緒にいたがったのかも知れないな。たぶん正解だろう。
ここにいても出来ることが何もないので、俺も村を出てロンドンの息子たちを頼るべきか。
あいつらだって自分に親父がいるってことを忘れちゃいないはずだ。



My dear Sally...


愛するサリーへ

もし君がベッドルームにいるなら、それは母の卑劣な計画が成功してしまったということだ。
お願いだ、どうかロバートとエドワードの脱出に手を貸してやって欲しい。
ロバートには合言葉を教えてある。
あの子は君の居場所を知っているけれど、合言葉を言う必要があるだろうから。

大切な親友よ、僕のことは心配しないで。君たちを逃がすことだけが僕の望みなんだ。
弟達を呪われたこの地から遠ざけてあげてくれ。そして、母の狂気の中の、神のみぞ知る場所に封印されてしまう僕の魂のために祈って欲しい。

さようなら、愛しいサリー。僕は失敗した。

心の限りの愛をこめて
アレクサンダー



Paimon teaches all arts...


(左ページ)
『ペイモンは芸術、哲学、科学、そして神秘に関するあらゆる知識を授ける。
つまり彼は地・風・水に属する秘密や、心に秘めている物事、その他召喚者の知りたいこと全てを明らかにし、品位と力を与えた有能な使い魔を施したり、召喚者の意志によって人を呪縛する。

ペイモンを一人で喚び出す場合、いくらかの供物か生贄が必要となる』


(訳註:右ページ、ラテン語部分だけ訳しておきます。念のため別タグで)
『加えて特筆しておくべきは、供物や犠牲によってペイモンを一人で喚び出した場合、二人の偉大な王たるベバルとアバラム、さらにその他の王たちを従えて現れる。その軍勢は25』
Eldwitch Forest関連資料和訳 #1
ELIZABETH BLACKWOOD 1745 - 1802

エリザベス・ブラックウッド
1745 - 1802

私のお墓を飾るのに黄金も大理石も要らない
祈りに来た人たちが薪を分けてくれるから
驕れる骸の礼拝堂に鐘の音が尽未来際鳴り渡る
横たわる枯れ木に一匹の虫が祈っている
友よ、私のお墓を石なんかで覆わないで
土に還るまでそっとしておいて



Anton at it again...


アントンがまた問題を起こしていることは承知しました。

ブラックウッド家の件を鑑みるに、誰でもあのような闇を生み出す可能性があると言うことに落胆しています。彼のその卑劣な試みが実を結べば、あの悪魔的な一族と互角に渡り合うでしょう。
彼の目的が、あの狡猾な地下の王それ自身の召喚の可能性があるなど考えられません!
私は、彼の望みは支配そのものだと思います。

では一体何のために?
人間の理解を超えた悪魔的な力を得るためでしょうか?
あるいは、神のような地位を手に入れるため?
私に想像できるのは、彼が多くの信奉者を得た時にそれが実現するだろうということだけです。

まだ最悪の状況でない時、彼の悪魔的な活動に恐れをなしてしまったことを後悔しています。

この手紙が間に合ったなら、アントンを退けるために全力を尽くしなさい。
ブラックウッド家の妖しげな術に耐えねばならないことだけでは不十分なのでしょうか?
我々のうちの一人が、あのような穢らわしい探究に取り憑かれているなんて。
あれは冒涜的な研究です!

聖水で身を守りなさい、さもなければ貴方もまたその不浄な地の耽溺に巻き込まれることでしょう!

コヴェントリー教区 (署名)



HERE LIES WILLIAM...

ウィリアム・ジェレミア・セシル・ホワイトゲート ここに眠る
1528 - 1565

彼の魂がこの地にて永久の安息を得んことを
地獄の炎により不浄の魂を遠ざけるべし



1st day We decided to study...


一日目
我々は、私がエルドウィッチで保管していたアブラハムの成果物、それに書物や写本類を洗いざらい学習することに決めた。照らしあわせながら全てを理解しておく必要があり、おとぎ話と事実の分離もせねばならないからだ。
恐らくは数週間を費やす単調で骨の折れる作業だが、それでもこの探究の魅力は損なわれることがなく、きっと我々はやり遂げることだろう。

六日目
共同作業が我々に翼を授けたようで、思ったよりも捗った。
全ての文書と写本から学び終えたが、答えを見つけることはできなかった。
悪魔たちを召喚する前に、必要な防御法を資料から抜き出しておかなくては。

八日目
いくつかの呪文を試したが、徒労に終わった。
恐らく発音を間違えたか、継ぎ接ぎした部分がよくなかったのだろう。
意志が鮮明でないと悪魔たちに思われているに違いない……。

21日目
しばらく進展がない。
もどかしさと疲れに圧倒されてしまった。
かなりこたえている。

32日目
ようやく進展があった!呪文の肝は『振動』のようだ。
空気がより重厚に、高密度になったような感覚があった。
まだ成功には至っていないが、答えに近づきつつあるのを感じる。確信している!



41日目
アニーはマルファスを説得して協力を得られると思っていたようだが、拒絶されたらしい。
私は特に驚かなかった。

52日目
記念すべき日。
実験が実を結び始めた。ボールが数秒間飛び跳ねて、触れると熱くなっていた。
まだ冷えていない。

53日目
何時間も観察しているが、いまだに目を離すことができない。
あれから32時間経ったが、ボールはまだ温かい。
我々の成功を祝うにはまだ早すぎるが、心の底ではわかっている。
何という素晴らしい進歩だろう……。

61日目
数々の失敗のすえ、我々はようやく彼とのコミュニケーションに成功した。
我々との会話の中で頻出する単語に反応するようになったのだ。
森を散歩させることで彼の気晴らしが期待できるようだ。

愚かなダンカンめ!
その知名力は失うに惜しいが、彼には永遠に夢の中で生きてもらうことにしたので、今は胸をなでおろしている。

我々の成功を思うと本当にいい気分になる。
結果を考えるまでもない。



This can hardly be considered...

これは言語とは見なされていない。いくつかのルールと模様をごった煮にした、ある種の紋章学のように思える。
このルールの基盤が何から定義されたのか(または誰が定義したのか)わかっていない。

多くの文化や神話において、人の本名あるいは完全な姓名を看破することは大いなる力をもたらすとされている。ある意味で、シジルはその人の信念を完璧に説明し、また、我々の力量を試すとも言える。ゆえにその理論を探ることは魅力的なのだろう、シジルははるかな世代にわたって知られている。

しかしながら、シジルはゴエティアの72柱の悪魔を召喚する際に使用されるもののひとつでもある。この二つは非常によく似ているが、あえて言うならばこれは悪魔にではなく、むしろこの世に生きる人間と結びつくためのものなのだ。

眠るのも忘れて何日もこの研究に没頭したおかげで、人間の精神というものにかけられたヴェールの一部がかなり取り払われようとしている。
コヴェントリーの大聖堂に納められていた記録帳からは、それぞれの人生についての詳細を得ることが期待できるだろう。人々の履歴が研究の一助となるかも知れない。



(訳註:赤字部分左側)
頻出する形
文字?
(訳註:同左)
山羊座?

調査は驚くほど進展している。あるシジルと結びついた名前はヘンリー・デビッド・ブラックウッド卿のものだった。彼はここに埋葬されている。この私有地に。
私は一族がこの地に定住したのは18世紀だと考えていたが、この故人がブラックウッド家に連なる人物であろうことから考えて、少なくとも1575年にはここにいたようだ。

彼の名前は記録から抹消されているようなので、その墓を見つけることは困難を極めそうだが、私の研究に不可欠である可能性がある。

シジルとその象徴するところについてかかりきりになり、昼も夜も机にかじりつくこと数週間。
ようやく固有のルールを理解し、自分で描くことができるようになったと感じている。
実はその文法は至極簡単で、座標のように組み合わせて描けばいいだけだったのだ。

各要素を円の半径になぞらえて、それぞれファーストネームの頭文字のライン、後に続く名前の頭文字のライン、星座のサインのライン、ということだった。
しかし、これだけでは個人を定義するのに不十分だ。
頭文字が同じ人間がいた場合どうするのだろう?

理論上、ヘンリー・アンソニー・ガーナーとハリエット・アリス・グリーンは同じシジルを持たねばならないことになるが、それはあり得ない。

私はまだ決定打に至っていない。そしてまたそれが私を熱中させる。



出生記録

註:字が潰れて微妙に判断しにくいのですが、
おそらく左から、整理番号、氏名、誕生日、洗礼日の順です。


I couldn't discover...

かのご先祖、ウィリアム・ホワイトゲートについては、ブリテン人の父とスコットランド人の母を持つ息子だったということ以外、ついに何も発見することが出来なかった。
彼は1528年8月11日に生まれた。ヘンリー8世がイギリスを震撼させた例の事件の少し前のことになる。

我が教会の身廊(訳註:教会内の、参列者用の椅子が並んでいる場所)にある墓碑は、彼が後援者だったことを示唆している。彼はその人生の終わりに、教会の建て直しに多大な貢献をした。
ここから導かれる答えとして、彼は信じること(この場合信仰だろうか?信頼だろうか?)か芸術に賛同する人物であったと察する。
いずれの場合であれ、私は地元の貴族についての調査に集中しなければならない。
おそらくは家系図を照らし合わせることで、重要な情報を発見することができるだろう。

調査を再開することにする。これから二週間ほどはかかるだろうが、他の研究にも注意を払う必要がある。明日は私の師匠で友人でもあるフィリップ・レスター司教に会うためエディンバラに向かう。

彼自身は破壊に消極的である旨の文書を用意したと言っていて、採決が下される前に彼らに読ませることを私に求めている。
彼らが私の考えている通りの彼らなら、私は時間の無駄になるようなことはしたくないのだが。


Foras (also known...

(訳註:ラテン語部分は英文内引用文とほぼ意味が一致するので省略します)
『フォラス(フォルカスという名でも知られる)は地獄の総裁で、屈強な男の姿をとって現れる。彼は薬草や価値のある宝石の効能に明るく、論理や倫理に関する知識を授ける。人を透明にしたり霊感を高め、雄弁や健康を与える。失せ物探しや宝の発見も得意とする。29の軍団を指揮下に置く』

左:シジル(ゴエティア)
右:退去のシジル?
Fields of Stone関連資料和訳 #1

猫と月

一匹の猫がうろうろと
月もくるくる回ってる
月にいちばんよく似てる
忍び足の猫は、見上げたよ。
月を見つめるミナルーシュ
かなしく鳴いてうろついた
空にかがやくつめたい光
野生のちからを呼び覚ます。
ミナルーシュは草むらで
優美な足をもちあげた。
踊りますか?ミナルーシュ?
猫と月とが出会ったよ
ダンスよりずっとすてきな踊り
月にもきっとできるはず
貴族の流儀に飽きたから。

新しいダンスをくるくると
ミナルーシュは忍び足
月のあかりが落ちる場所。
お空の月はおごそかに
そのかたちを変えていく
ミナルーシュは気付いてる?
まんまるから三日月に
三日月からまんまるに
くるくる、くるくる、変わってる
猫のひとみが変わってる
月のかたちが変わるみたいに。
ミナルーシュは草むらを
忍び足でわたったよ
ひとりぽっちでわたったよ
えらくてかしこいミナルーシュ
月をぬすんで入れ替えた。
月にならってくるくる変わる
彼のひとみと入れ替えた。


09/06/1938

1938年6月9日
  • 発動機の点検 - 完了
  • 研究室の照明の交換 - 完了
  • 地下に必要物資を運びこむ
  • エレベーターの点検 - 完了
  • 地下の配電盤のヒューズを交換する
  • 地下を図面取りする
  • 植物サンプルの調査←できるだけ屋敷から離れた場所で
コード、メジャー、小型のシャベル、つるはし……本物の考古学者の備品だ。
こんなに借りて怒ってないといいが。



Notes on the Histry of the Blackwoods

ブラックウッド家の歴史に関するメモ

あちこちから資料をかき集め、祖先に導かれた調査から判断した結果、ブラックウッド家の最初の痕跡を19世紀のはじめに遡って発見することができた。手がかりに乏しいが、有用な情報のほとんどは、この2世紀内のものだ。

領主館について

出生名簿によると、ブラックウッド屋敷は一族の歴史の中では比較的最近のものだ。
1623年から建設が始まったオークマーシュ村はもとブラックウッド家の領地で、この館から程近い場所にある。

一族がどこから来たのかを発見するには至らなかったが、今日の我々が知るところの館と旧館にはあまり共通点がない。当初の建物におおよそ調和させていくつかの部分を増築したようだ。
特に1795年から1798年の間に建てられたエイビアリー(訳註:建物内、あるいは庭に設えた大型の放鳥施設。一部屋まるごと鳥小屋にしたようなもの)は、エドワード・ブラックウッド卿の気まぐれの一つであった。
上階は明らかに付け足されたか又はより高くされており、我々が展望台と呼んでいる塔は、最後のパーツとして1812年に作られた。

館の立地に関してだが、これは中世の砦の遺構の上に建てられたようで、その砦自体もローマ時代の遺跡の上に建てられている。このような土地の再利用は稀であるものの、今日においてもその痕跡は各地に散見することができる。
案の定、古い建築物に言及された図面を私有地の東部において発見した。

さらに、我々の祖先ジョナサン・ブラックウッドは館において、ある考古学的な『任務』に出資していた。西暦60年から70年の間のローマ時代の、陶器、護符、食器類、それに幾許かの貨幣といった多数の品々が出土し、この発見によりジョナサン・ブラックウッドはロンドン考古学協会の名誉会員となった。
さらなる調査のために第二班が召集されたが、その結果についてはどこにも言及されていない。



理由は不明だが、どうも主契約者は賃金を請求しないまま、出土品や機材と共に姿を消したようだ。これには興味をそそられた。主契約者とジョナサン・ブラックウッドとが単に仲違いしただけでは、報酬も受け取らずに出て行ったりしないはずだ。
ゆえに私は、彼は館の地下で何かを発見した後、恐ろしくも非常に魅力的にも感じてしまい、それを持ち去ってしまったのであろうと考えている。

ブラックウッドの興味深い建築物のうちでも特筆すべきは教会であり、その建物はエルドウィッチの中心に位置している。これは礼拝所としては特異な選択である。隣接した建築物は16世紀に建てられた見張り塔で、この場所は私有地のはずれにあたる。
森を渡って礼拝に行くというのは非常に感覚的であり、それこそがこの場所を選んだ理由だろうと推察するが、私としては勘弁願いたい。

教会の歴史は極めて目まぐるしく、13世紀に初めて作られたが、その後1537年にはヘンリー八世の解散命令によって修道院はいちど破壊されている。
1551年、コヴェントリーの司教であったウィリアム・ホワイトゲート卿が再建を手掛け1556年に落成したものの、今世紀の始めに至るまで、この場所でミサが執り行われることはなかった。

ブラックウッドの血脈について

ブラックウッド一族の起源についてはいくつか仮説があるが、どの説が正しいかを見極めることは極めて困難であった。
ある説ではスコットランドのローランド地方に住むダグラス氏族の流れを汲み、かの地を離れる際に改姓したとされ、いずれの説でもスコットランドを起源とした一族であることは意見の一致を見るところである。
この説によれば一族は14世紀にスターリング地方を離れた。最初期のブラックウッド一族はその後ミッドランド西部に定住し、同時期に授爵したと述べられている。



最初のブラックウッド氏の偉業を否定することはできないものの、その子孫たちは異なる職業を選んだ。ある分家は17世紀において薬学と人体についての研究で知られる。そして大衆と英国国教会の怒りを買った、かのコール・ブラックウッドのような才気ある人材を排出した。
御殿医だった彼は道徳的に非難されるべき研究に興味を持っていたようで、その人生に言及したいくつかの文書では、魔術と死霊術の噂について語られていた。
真偽はともあれ、コール・ブラックウッドは一族について回る薄暗いイメージの源泉となったと思われる。

この時以来、我々の一族は科学についてたゆむことなく学び続けてきた。その情熱は1742年の『学び、教えよ』という家訓にも明らかで、この信条はブラックウッドの血脈に通ずる者の目を共通の目標に向けさせているように思われ、かく言う私もその熱烈な愛好者の一人である。

この特性は世代に受け継がれるうちに、ますます顕著になっていく可能性がある。父の勉学や研究、教養への熱意は私の青春時代と科学に対する考え方、および我々の一族にも影響を与えた。そのお陰で私は充分な学びを得ることができたのだった。

今日、ブラックウッド家は非常に多くの子孫を抱えているものの、彼らは遠く離れていたとしてもこの特徴に連なっている。
――父よ、一族には現在二名の教授がいます。そして文学の教師、生物学者、二名の医師も。



PROTECTION
(註:文中の固有名詞については、あえて訳していないものがあります)

防護

レシピ:clemia を少なめに
Russula cyanoxantha を多めに(粉を1~2つまみ余分に)
成長ホルモン +
△と試す?

粘板岩 + ▽
結晶化せずに機能した。

散布時には
を確認すること。


この植物が岩盤中の栄養素だけで養われているのかは不明。植物の活力から推察するに、他の何かからも豊富に供給されているはずだ。
根に触れると疲労感と息切れを感じ、力が抜けたようになる。
この違和感から結論を導き出すのは難しいことではない……。

この植物の赤色は、水に浸すと褐変する。また、挿し木で殖やすことは不可能だった。
その葉の一枚を数分間皮膚と接触させ続けたところ、葉の中心が赤く変化したが、皮膚には何の痕跡も見られなかった。



この呪われた植物には伝染力がある!
トンネル内に決して残してはならない。火にくべてしまえばいいのだが、どうしてもその気になれなかった。だが、地下墓地では毎日この植物が吐き出され続けている。

もし母がブネとの取引を計画しているなら、彼女が解決してくれることを願うしかない。

しばらくの間、この調査を脇に置いておく。ラビリンスの作成に全てを注がねばならない。
明日はスコットランドに向かう。

地下トンネルは閉鎖するべきだろう……後ろ髪を引かれる思いではあるが。






1856年10月1日 注文したクリアリング用機材がまだ届いていない。予想される遅延:2日

1856年10月2日 F5の骨を取り上げ、整合作業。40代男性。年代特定に回す。たぶん2世紀。換気のための掘削作業完了。植物の調査を再開しようとしている。

1856年10月3日 特記事項なし。

1856年10月4日 機材が届く。寺院の掘削を再開。

1856年10月5日 hopping of the impacts complete. 主に寺院の周囲と内部に存在している。

1856年10月6日 特記事項なし。

1856年10月7日 特記事項なし。

1856年10月8日 赤い植物の異常繁殖。EからH地点までを完全に覆っている。除去作業進行中。

1856年10月9日 除去が追いつかず、植物にすべてを侵略された。サイモンとハートウッドが上に避難。GからHまでの調査中止。

1856年10月10日 一体全体何が起こった?






ブネは早くも1200年前に存在した証拠がある。私は、この洞窟からブネを退ける知恵と勇気を持っていた人々に感謝の意を表す。

その悪魔は正気ではなく、予測不能で極めて危険な存在である。ここで見ることができる赤い蔓草は、彼の意志表示とその手段を兼ねており、縄張りを主張する場所に蔓延らせるのだ。

我々が現在も見ることができるそれは往年のそれ自身の影に過ぎないが、未だに極めて有害な超自然的エネルギーを放っている。

我々がこの世にとどまる限り、このシジルが究極のバリアとして我々を守り続けんことを。
Silver Labyrinth関連資料和訳 #1
Gabriel Hodgkin - 2 February, 1940

ガブリエル・ホジキン ― 1940年 2月 2日

母さまの研究のせいで、例の正気の沙汰とは思えない計画で昼も夜も頭がいっぱいになってしまい、ついに俺は着手を決めた。すでに必要な材料をすべて集め、しかるべき予防措置も取ってある。
それを見たとき母さまがどんな反応をするか怖かったが、いつもと同じように充分なサポートをしてくれた。
母さまによれば、俺の研究と母さまの研究とは、互いの利益になるそうだ。俺もそう思う。
待ちきれない。

数年前、俺は自分自身を嘲笑していた。
だが今なら、狂っているかも知れなくとも、不死はある意味で実現可能だと分かっている。
物体に人の魂を可能な限り長期にわたって宿す「計画」。
とは言え、天然物を使用するのはお勧めできない――情報が乏しく、リスクが大きすぎるからだ。
これまでの成果にはまだ疑問が残るものの、アントンと母さまはそう遠くないうちに目的を達成するだろう。



俺はといえば、物体に魂を一時的に投影するような、何か別の方法がないか模索している――ある人物の作品や持ち物から、その人の体験に触れることを可能にするような何かを。

俺はよく知っている、慣れ親しんだ物から始めることにした。どんな危険も冒したくなかったからだ。
そういう品のうち、俺の手によるもので、無限の可能性を提供してくれる物――写真だ。
もちろん写真の科学的、物理的組成を知っているわけではないが、フレーミングから撮影まで、それに現像といった技術には精通している。
馴染みのある場所を撮影すれば、迷子になる危険を避けることができるはず。
出られなくなるのはごめんだ。



I'm feeling my way through...

順調だと感じるものの、多くの疑問に襲われている。
  • 写真に憑依している時、俺が見ているものは何なのか。俺の記憶の反映か、その瞬間の本物の情景なのか。
  • 合成写真を作って憑依した場合、その風景は合成によって『でっち上げられた』ものなのか。あるいはそれぞれの写真にリンク(出入口?)を作ったと言って差し支えないのか。
  • 写真に憑依中、俺の現実的な存在はどうなっているのか。肉体は反応しているのか、移動したりするのか。行動を続けられるのか、何が起こるのか。
最後の謎に光を当ててもらうため、母さまに儀式の立会いを求めてみようか。



I gave orders...

俺は決して生きているはずのない生き物に命令を与え、俺の前に誰も説明し得なかったような人間の魂の本質を理解したと感じた。俺は死後の救済の糸口を掴み、文字通りの意味で天上と地上とを行き来した。

誰一人、これほど近づけなかった。
明日の夜が来るのが怖くないと言ったら正気を疑われるだろうが。

俺は母さまを信じる。母さまの研究、母さまの意志、母さまの知識、母さまの執念、母さまの用心深さ、母さまの力と母さまの知性を。

もう引き返せない。



first of all,

まず、その物体――『被写体』について可能な限り深く掘り下げることをお勧めする。そして階段を登る時のように、徐々に意識を自身から物体に移す。
  1. 注意
  2. 接近
  3. 招待
  4. 憑依
理念は簡単なようだが、最初の2ステップを試みた後にいつも変性意識状態が数分間しつこく続き、投射対象と自身の間の繊細な繋がりを壊すのでお勧めできない。
繋がりを維持するためには儀式を活用するといいようだ。

最も恐ろしい試練は、招待――より正確には、被写体が投射体を『受け入れ』、その扉を開いて中に招き入れるプロセスだ。徐々に肉体の感覚が薄れ、そして新しい世界が開かれるのだが、二つの世界が共存するこの一瞬は精神的・肉体的な苦痛を与える。

最後のステップが憑依だ。両手にシジルを描き込むことは繋がりを強化する(『シギラリア』参照)。


my dear parents,

父さん、母さん

ここに残されて、何の命令もないまま一ヶ月ほどが経ちました。
セントマーガレットに生きた魂はいません――爆撃をまぬがれた人たちさえも。
にもかかわらずこの数週間、まだ不満の声は上がっていません。

銃を見つめて過ごすことはひとまずの安心を与えてくれますが、恐ろしくもあります。
我々は待機と疑念で疲弊しています。血が流されたというのに、海のこちら側の人たちに応えられて嬉しかった。

でも、もう文句は言いません。こんなことを言っても仕方ないけど、我々を覆う不気味な静寂の中で、今はあなた方のために書いた素敵な曲を楽しむことが出来ています。それから、ここ数日の単調さを破って、掩蔽壕に写真家が来たんです。その人はダイムラーの装甲車に乗って、二人の将校と一緒にやって来ました。


奇妙な男で、その人が何のために来たのか誰一人知りませんでした。彼は沢山の機材を広げて数枚の写真を取りましたが、我々を決して近づけないようにしていました。戦争写真といえば勇敢な兵士たちの肖像が一般的だと思うのですが、黒い壁ばかりで何もないというのに、彼は建物にしか興味を示さず、そうこうしている内に帰って行きました。

リジーから手紙が来なくて寂しい。彼女、どうしてますか?元気だといいんですが。まだ若いのだし、できるだけ戦争の影響を受けていないことを願います。よろしく伝えて下さい。
先週マーティンがくれた手紙が最新の便りなんです。あいつはこの掩蔽壕を出て



Naberius

ナベリウス

好奇心の強い
無愛想な
控えめな
情熱的な
穏やかな

《退去》
追儺
Blackwood Manor関連資料和訳 #5
I finished setting up the projector...

図書館にプロジェクターを設置し終えた。ちゃんと動いている。この装置は装飾的だし面白いね。
さらにいくつかの部分を電化する予定だ。さし当たって子供達はまだ楽しんでいて、 and setting if in motion is always a happy moment.

アニー、君の息子たちには本当に優れている。とは言え、レッスン中や最近の様子に若干のだらしなさを感じた。君は研究に夢中になるあまり、あの子たちのために時間を取れていないのではないだろうか。
誤解しないで欲しい、君を責めるつもりはない。
ただ君が安心できるように、子供達の教育を手助けしようかと思っただけだ。

あの子たちを連れて町まで行ってもいいかい?
外の世界を見せるのは子供達のためになるはずだ。

アントン



ハボリムはこれまでに出会った悪魔の6番目にあたり、そして最も骨が折れる。暴力的という訳ではないのだが、癇癪が強いのだ。彼がブネの近くにいた時に怒りを露わにしていたのは、つまりそういうことだと思われる。
彼らの性質はそれぞれ本で学んだそれと異なっていて、ハボリムはまったく得体が知れず、彼とのコミュニケーションが課題となっている。

ごく短い文を頭の中に徐々に思い浮かべるところから始めてみたが、ハボリムはそれをまったくランダムな順序でぽつぽつ呟くような調子だった。その停止と沈黙はまとまりのない会話を生み、他の悪意ある特性を持つ悪魔よりずっと悩ましい。
彼の意図が私にはわからない。彼はその語る言葉のように神秘的な悪魔だ。


これは本当にアレクサンダーを補完してくれる。
大いに役立ってくれることだろう……。

1月28日

終わった。簡単ではなかった。
アレクサンダーは私に逆らったかも知れないが、まだ私の息子だ。
そしてこの儀式は痛みを伴う試練であり、頑なに抵抗し続けたあの子のためのもの。
今、魂と対面した――あの子の肉体を離れた魂と。

それにしても、あの子のために選んだ楽器は完全に適合した。
あの子はあれを大事にしていた。私はよく知っている……。

考えるのを止めなければ。
痛みが強すぎる、疑念の虫が頻繁に……。
狂気をすぐそばに感じるが、私にはやらねばならないことがある。
失敗するわけにはいかないのだ。



Alex, thanks for fixing my train.

アレックス兄さまへ

汽車を直してくれて本当にありがとう!まだ車輪がいっこ行方不明だけど、バランスがよくなったからちゃんと走るよ!

母さまのお話は本当なのかな?
永遠に機関車であそべるようになるし、父さまがいたころみたいに幸せになれるよって言ってたけど。
本当なんだとしたら、兄さまが母さまに反対するのはまちがってるよ。だって、すてきなことだと思うもん。

でも、ちゃんと今夜兄さまに会いにいくよ。約束する。



To the careless young man...

研究室でちょっとした実験を行った後、過マンガン酸カリウムがたっぷり入った皿を隣に置いたまま、グリセロールのフラスコの蓋を開けっ放しにした、不注意な若者へ:

何かが燃える、煤だらけになる、あるいは破壊される等の損害があった場合、それは貴君のクリスマスプレゼントに不幸な結果をもたらすことになるでしょう。

これらの物質の取り扱いには注意すること。使用後は気をつけて片付けること!

追伸:ロバート、貴君が犯人の可能性が最も高い ― 二次方程式は、貴君が大喜びで観察したであろう綺麗な紫色の炎のロウソクを支えてはくれなかったと私は理解しましたが、貴君は現在、確実にこの実験をものにしている。

しかしながら、貴君の数学への理解は欠けていると推察する次第です。



REFERENCES

参考図書
  • 『古代ローマのフレスコとモザイク』バルトロメオ・マッチーニ - 1902年 ローマ国立中央図書館
  • 『薔薇物語』ギョーム・ド・ロリス、ジャン・ド・モエム - 1420年 ボドリアン図書館
  • 『哲学者の手による偉大なる作品、或いはエリクシールへの釈明』ドン・ベリン - 1659年 大英博物館



My dear Alexander.

親愛なるアレクサンダー

ロバートにこの手紙を預けました。私から手紙が来てもブラックウッドの屋敷の人たちはいい顔しないだろうし、あなたにちゃんと届くとも思えないから。

でも、ジョージ・サムソンがあのフラットに移ってもいいって言ってたのを、早く知らせたくて。買い取りのことも話した。狭いけど、二人で落ち着くには丁度いい場所だと思うわ。
私、こんなに幸せなの初めて!

正直なところ、サムソンにもいい話になったと思うの。みんなどんどんオークマーシュからいなくなってるし。あなたが村の真ん中に住んでくれるなら、みんなも出て行くのを思いとどまってくれるかも。
でももちろん、お屋敷を出れば別の疑惑が生まれることになるけど……。
みんな怖がってる。表に出さないだけで。

それはともかく、次に会うのが待ちきれないよ!
今夜、沼で会えないかな?


ロバートは卵のこと忘れてると思うのよ。だから、午後はちょっと買い物しにサムソンの店に行かなきゃなの。

私の歯がゆい想いを込めて
サリー



12 Novemper, 1940

1940年 12月 12日

ラビリンスが完成した。心の中は好奇心と安堵が綯い交ぜだ……。
中にいる間は、深い静寂を感じる。そこは安全だと思う。記憶に紐付けられたラビリンスの各部位は、最終的に現実世界、すなわち現在の世界に定着し、いまだ保護されている。
これが俺の作品だ。ガブリエル・ホッジキンが人生を捧げ、今目の前にその姿を現したこれが。

一仕事終えたところで、俺は物に――コンパスや本やペンのような物体になってしまうかも知れないと戸惑う俺自身を、まだどうすることも出来ないでいる。生物ならどうだろう?

知識への渇望をよそに、時間が足りない――なんだかちっともイライラが収まらない。俺の新しい人生はもうすぐそこで、でもそれは俺をより幸せにはしない。
アレクサンダーには申し訳ないことをした。あの計画が続くことを恐れていたのに、それをわがままな濡れ衣だと考えて、俺はあいつが無闇に怖がっているんだと解釈してしまった。

ロバートとエドワードは、この計画を知った時何を思うだろう?
だが、この不安は一時的なものだ。

すべてから解き放たれた、魂が祝福されたその状態、そしてそれに付随する甘美な明晰に打ち勝てるものなどありはしない。

1941年 1月 30日

そういうわけで、久しぶりにこれを書くことにした。
あのポートレートに俺の魂を投射することで、俺はただすぐそばに原因が存在している時間の中、希薄ながら永遠にそこにある、神の庭に召されるだろう。

来る日も来る日も、モーターと爆発の轟音が空を駆け抜け、夜ごと爆撃機が我が家の屋根の上を飛んでいくのが聞こえてくる。



戦争が、ブラックウッドとオークマーシュに情けをかけてくれることを願う。
コヴェントリーは災難だった。時間は短く、心の準備が間に合わないかも知れないことを俺は恐れている。



Robert, Mother thinks you're...

ロバートへ

お母さんはあなたがベッドルームにいると思っていましたが、朝の間ずっとあなたを見かけなかったと、エドワードが教えてくれました。アレクサンダーに頼まれた村への秘密のおつかいから戻ってきたら、塔まで来れますか?あなたに見せたいものがあります。

追伸:あなたの大好きな双眼鏡を持ってくるように。

(訳註:以下赤字部分)
ガブリエル、ロバートの髪を触れば、僕が見つけた母さまの君に対する保護の呪文は効力を失くす。

ロバート、もしこれを読んだら、お願いだから僕を信じて僕を探して欲しい。
母さま達は物体を介して君たちを永遠に生かすことが出来ると考えている。
それが成功したら皆死んでしまうことに気づいていないんだ。


Pu aol nylha zahpyjhzl.

Pu aol nylha zahpyjhzl.
adv ypnoa
mvby slma
aoyll ypnoa


――ロバート、こんなゲームに付き合っている時間がないんだ。あれを返してくれよ。

アレクサンダー